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円山・藻岩山の原始林と札幌農学校

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先の記事 に,札幌が世界ベスト100都市に選出されていることを書きました。このランキングは必ずしも人口や経済力には一致しません。都市圏人口が100万人以上の都市をさまざまな側面から評価して,総合的に順位づけしたものです。札幌の場合,住みやすさが特に高く評価されていることを前回の記事にも書きました。住みやすさには,街の緑,自然というものが大きく関わってきます。緑には,公園のような人工の環境もあれば,自然の山林もあります。大通公園や中島公園のように札幌には人工の公園にも良いところが多数ありますが,ここでは自然に目を向けてみます。 冒頭の写真は,札幌の夜景です。都心から南西方向に位置する藻岩山から,北方向を撮影したものです。画面左側に三角形の影のような黒いかたまりが見えます。こちらは円山です。街あかりの海の中に浮かんでいるように見えます。円山も藻岩山も,身近な山登りコースとして,多くの市民が訪れて自然に親しんでいます。 円山と藻岩山の原生林は,天然記念物に指定されています。両者とも地下鉄や市電からアクセスしやすい位置にありますが,開発から守られて,自然の姿をとどめています。放っておいたらそうなったわけでは決してなく,人の明確な意志によって保たれています。 円山と藻岩山の原生林が天然記念物に指定されたことには,今から約150年前の明治9年(1876)に開校した,日本最初期の高等教育機関である札幌農学校,現在の北海道大学が大きく関わっています。新渡戸稲造や内村鑑三と同期である2期生の宮部金吾は,植物学に興味を持ち,農学士の学位を得て卒業した後に米国ハーバード大学で植物の研究をして理学博士(Doctor of Science)の学位を取り,帰国後は母校札幌農学校の教授となります。 植物学者の宮部が札幌で植物の採取をしたのは円山や藻岩山であったそうです。明治26年(1893)には,札幌を訪れたハーバード大学の植物学者サージェントを円山や藻岩山に案内します。小さな山でありながら豊富な植物相を持つことが世界的にも珍しいと注目され,世界の研究界に知られることになります。 このようなことを背景として,円山と藻岩山の原始林は大正10年(1920)に天然記念物に指定されます。ただし円山も藻岩山も,全域が指定されているわけではありません。円山は市街地に近い東側は指定範囲外ですし,藻岩山の指定範...

世界ベスト100都市に札幌が選出,住みやすさではトップ20

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冒頭の写真は札幌の夜景です。海外の調査で選ばれる世界ベスト100都市に,日本からは,札幌,東京,名古屋,大阪の4都市が選出されました。 札幌は住みやすさが特に高く評価され,住みやすさの総合指標でグローバルトップ20に入っているとのことです。内訳として,医療(Healthcare System Index),市街地の樹木(Tree Cover),空気の質(Air Quality)において高い評価がなされています。 ベスト100都市において札幌と同程度のランクには,ギリシャの首都アテネや,ドイツ第2の都市ハンブルクなどが見えます。札幌は欧州の一国の第1・第2の都市に匹敵する都市と評価されていることになります。 先月にはeスポーツの世界大会が大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)で開催されましたが,札東名阪といった主要都市を調査した結果,交通アクセスなども含めて主催者のイメージに最も合う会場として選ばれており,海外での評価・知名度も上昇しているものといえます。 今日の札幌には渋滞問題やそれに対する地下鉄網の一層の整備などまだ色々と課題はありますが,明治初期にまだまっさらな札幌の都市計画をした島義勇が「他日五州第一の都たらん」とうたってから150年で,国内では東名阪に次ぐ大都市になり,そして世界100位以内と評価されるようになりました。この先の成長も楽しみです。

なぜバックスラッシュは円記号になったのか

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 すこし前にこういう話がありました。 そして、最後に明らかになるスラッシュとバックスラッシュと¥マークの関係。長らくパソコンに触れていたけれど、全然知らなかったです。そんな理由なの??という衝撃のオチ — からあげ (@karaage0703) February 10, 2025 元のビデオはこちら (ハッカソン魂 男女混交初心者ハッカソン#3 スラッシュの謎とOSの血塗られた歴史) 動画の最後の方にバックスラッシュと円記号の話が出てきます。面白く語っているので細かいところは若干盛った話し方になっています。米国の文字コード規格であるASCIIコードにあるバックスラッシュが,日本での相当規格では,より実用性の高い通貨の円記号に置き換えられたという意味ではあっています。 詳しい(というか真面目な)説明は,拙著『 [改訂新版] プログラマのための文字コード技術入門 』の第2章をお読みいただければと思います。 かいつまんでいうと,ASCIIという米国の規格を国際標準にしたISO/IEC 646という規格ではいくつかの符号位置が各国規格でカスタマイズできるようになっており,日本の対応規格であるJIS X 0201ではASCIIバックスラッシュ相当の位置(5/12, 0x5C)に円記号を割り当てているということです。 国によって違うので,韓国ではウォン記号だったり,欧州諸国ではダイアクリティカルマークのついたアルファベットを入れたりしています。 ただし欧州と日本で状況が違うのは,日本のJIS X 0201がASCIIと2箇所しか違わない (オーバーラインとチルダを同一視すれば円記号の1箇所のみ)のに対し,欧州ではもっと多くの違いがあり,ASCIIの波括弧 { } や鉤括弧 [ ] ,縦線 | 等も別の文字が割り当てられています。これだけ違いがあるとASCIIと同じもののように扱うのは難しくなります。そこで,8ビットのISO 8859シリーズ,つまり西欧のLatin-1等ができると,これは7ビット部分はASCIIと同一ですから,こっちを使えばいいやということになって,完全にASCII互換になります。 日本の場合1文字しか違わない,それも通常の言語表記には用いないバックスラッシュだったということから,JIS X 0201から完全にASCIIに切り替える動機が乏しかったといえ...

北海道のふるさと納税おすすめ Appendix

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  前編 ・ 後編 の2回に分けてお届けした北海道のおすすめふるさと納税返礼品ですが,もう少し個人的な趣味で付け加えておきたいものを,この記事には書いておきたいと思います。ちなみに今回の画像は札幌市・北海道大学の構内です。1876年に札幌農学校としてスタートし,西洋の近代的な農業や酪農を北海道に普及させる役割を担いました。 安平町の豚肉の焼売 北海道は畜産も盛んです。こちらは安平町の豚肉を使った焼売。「ジャンボ」とうたっているように大きなサイズで食べ応えがあるのが特徴です。「食べた!」という実感があります。ブランド豚「ケンボロー豚」を使用して北海道産の玉ねぎと合わせているとのこと。 北海道安平町産ケンボロー豚ジャンボ肉しゅうまい 4パック 芽室町の北海道小麦のパスタ 国内の小麦といえば北海道。その北海道小麦を使ったパスタです。パスタで北海道産というのはあまりイメージがないかもしれませんが,国産品の可能性としてこういうのも試してみたいところ。もちもちした食感が特徴です。 スパゲッティ 北海道パスタ 270g×4袋セット 千歳市のパスタソース パスタがあるならパスタソースも。こちらは,千歳市のブランド豚「う米豚」のひき肉を使ったミートソース。北海道パスタにあわせてどうぞ。 う米豚ミートソース 福島町のするめ 函館のイカというのは有名ですが,イカがとれるなら加工品も。道南・福島町のするめのセットです。味わいが良く,食べやすいサイズのものです。 大羽するめ 4~5号 15枚セット 増毛町の日本酒 増毛町(ましけちょう)は日本海側の町です。明治15年創業,この町の国稀酒造は良いお酒を作るのですが,道外では残念ながらあまり見かけることがありません。私は札幌の回ってない寿司屋で「国稀 鬼ころし」を飲んでファンになりました。 国稀 味くらべ 900ml 3本セット(国稀・上撰・鬼ころし)

ブログのフィードについて

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フィードというもの ブログという仕組みがもっと注目されていた頃は,RSSフィードというものが最新情報を得るために利用されていました。ウェブサイトの更新情報・最新記事をRSSというXML形式に記述したものです。RSSがなんの略かは忘れてしまいましたが(!),ネットで検索するとRich Site SummaryやReally Simple Syndicationといった名称が出てきます。Atomという仕様も同じ目的のものです。総称してフィードとも呼ばれます。これらは今でももちろんありますが,あまり積極的に活用されなくなった感じがします。 これらはあくまでもファイル形式であって,目に見えるUIのついたアプリケーションでないというのがあまり一般受けしない理由かもしれません。RSSフィードを購読するにはフィードリーダーというソフトウェアが必要です。ウェブブラウザから利用できるGoogle Reader等のポピュラーなツールがありましたが,利用者がいまいち伸びないためかサービスをやめてしまったりしています。私はInoreaderというフィードリーダーを現在使っています。末長くサービス提供してくれると良いのですが。 最新情報を得る手段としてTwitterが広く使われるようになったのも,RSSが下火になった原因にあるかもしれません。しかし,この手のSNSは最近,フォロー先の投稿を単純に時系列に表示するのでなく,勝手に取捨選択してしまうお節介な機能が幅を利かせています。純粋に購読先の最新情報を時系列順に見たいという用途には,フィードが復権する余地があるのではないかという気がします。 Bloggerのフィード このブログにもフィードがあります。下記URLです:  https://blog.yanok.net/feeds/posts/default このURLをフィードリーダーの購読(subscribe)機能に与えると,ブログの最新記事が順に並びます。なお,Bloggerの場合新たに投稿しただけでなく公開済みの記事の編集も反映されるようです。 実は当ブログ(Blogger)のメニューボタンからもAtomフィードへのリンクにたどりつけるのですが,そこまで見ている人は少ないかもしれません。気が向いたら,上記URLの当ブログのフィードをフィードリーダーに登録してみてください。 基本的に...

北海道のふるさと納税おすすめ (後編)

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前編 に引き続き,北海道のおすすめふるさと納税返礼品を紹介します。 猿払村のホタテ 猿払村はホタテの名産地であるオホーツク海側にある村です。こちらのホタテは,刺身でもバター焼きでも大変おいしくいただけました。上手な解凍方法の説明が同梱されていたので,初めての方でも安心です。 北海道猿払産 冷凍ホタテ貝柱 500g(25~30玉) 函館市の米 北海道で米どころといえば空知地方を中心とした一帯がイメージされますが,道南ではふっくりんこという品種が作られており,こちらも良い米です。函館市は前市長の時にあまりふるさと納税に力を入れていなかったのですが,現市長になってから強化されています。 北海道米 函館育ち「ふっくりんこ」10kgセット(5kg×2袋) 由仁町の駅名標 ふるさと納税の返礼品は食品ばかりではありません。こちらは,由仁町内の鉄道駅の駅名標をキーホルダーにしたものです。これは由仁町ばかりでなく,複数の自治体にあります。自分の思い入れのある駅のものがあれば,申し込んでみると良いでしょう。 駅名標キーホルダーセット 【由仁町内】 奥尻町のワイン 奥尻町は,渡島半島の西に浮かぶ奥尻島の自治体です。1993年の北海道南西沖地震による津波で大きな被害を受けた町ですが,その後ワインを作るようになり,今では一つの名産品になっています。 「奥尻ワイン」2022年リリース!! Zweigeltrebe(ツヴァイゲルトレーベ/赤)、Pinot Gris(ピノ・グリ/白)2本セット 札幌市の生ノースマン 札幌千秋庵の銘菓「ノースマン」は昭和49年発売のロングセラーですが,「生ノースマン」という商品もでき,注目されています。札幌在住の方は大丸札幌店で買えます。道外の方はふるさと納税で。「ESSEふるさとグランプリ2024」の菓子部門で金賞1位を獲得とのことです ( 参考 )。 千秋庵・生ノースマン 4個入り 2箱 (追記: 後編はここで終わりですが,さらに Appendix を追加しました!  ぜひご覧ください)

iframelyでブログカードを作る

前の記事 を書いたとき,他サイトへのリンクを単にテキストリンクにするのはなんとなく物足りなく思いました。いま,SNSなどではリンク先ウェブページのサムネイル画像の出るカード形式のリンクを見かけることが多いです。さて,ブログ記事でそういうのを実現するのはどうするのがいいんだろう。 今回は,iframelyというサービスを使ってみました。 iframelyのサイトへのリンクをそれ自体で作ると,こんなふうになります。 使い方は,サイト内の説明に付け加える必要はないと思います。URLを与えてやるとHTMLコードを生成するので,それを自分のブログページにHTMLとして貼ればOKです (Bloggerの編集画面では左上のペン型のアイコンからHTML編集に切り替えられます)。 さて,こういうふうにサムネイルが出るということを前提にすると,各記事に何かしら画像がないと殺風景なリンクになってしまうな,というように意識が変わってきます。画像を見せるための記事ならいいのですが,毎回そうとも限らない。では,いらすとやでも使うか,生成AIでも使うか……と,無理やり画像を入れようとすると結果的につまらないAI絵を作ってしまわないかという懸念も出てきます。考えすぎですかね。