令和の大彗星,紫金山・アトラス彗星
紫金山・アトラス彗星が夕方の空で見やすくなり,尾を引いた彗星らしい姿を見せてくれました。写真は,江ノ島と富士山の夕景に合わせて彗星を撮ったものです。私の視力では肉眼では見えず,双眼鏡を使わないとなりませんでしたが,目の良い人は光害の多い市街地でも肉眼で見えたかもしれません。
ニュース記事などではこの彗星が近づくのは8万年に1度と言われています。しかし,こうした長周期彗星の場合,のちのち新たな情報に基づいて数字が大きく変わる場合があります。周期彗星とならず二度と戻ってこないという計算になることもあります。数字を文字通りに解釈するよりも,自分の生きてるうちに戻ってくることはないし,二度と戻ってこないかもしれないんだなと,大括りに捉えておけば十分と思います。
報道ではこうした天文現象について「何年に一度」「何年ぶり」のような言い方がよくされます。今回の現象がどれぐらい珍しいのかを言いたいということなのでしょうが,長周期彗星の周期をそれに使うのは適切なのだろうか?という疑問があります。1個の彗星がいつ戻ってくるかということでなく,肉眼で見えるくらい明るい彗星がやってくるのはどれくらいの頻度なのか,を言う方が適切と思います。
もっとも,彗星というのはいつ現れるかわからないもので,過去には1996年の百武彗星,翌年のヘール・ボップ彗星と,2年続けて肉眼等級の大彗星が接近したことがあります。肉眼での見え方という点では,今回の紫金山・アトラス彗星よりも明るく,見やすく現れていました。
立て続けに現れることもあれば,さっぱり出てこないこともあるということを踏まえると,ざっくり,20〜30年に一度ぐらいの頻度で大きな彗星が現れるといったところでしょうか。
今回の紫金山・アトラス彗星は,2020年のネオワイズ彗星とならんで,令和の大彗星と言って良いと思います。