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ISOの規格票を無料で入手する方法(一部)

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(画像: 終了を知らせる無料ダウンロードサイト) 産業において,標準化は重要です。標準(規格, standard)は産業界の利害関係者や学識経験者によって定められたプロセスに則って文書として製作され,批准されます。各国の国内規格のほか,国際的な活動を円滑にする国際規格があり,ISO (国際標準化機構)等の団体で標準化がなされています。規格票は通常,有料で販売されています。 かつて, Publicly Available Standards というサイトがあり,一部の国際規格の規格票が無料で入手できました。文字コード関係ではISO/IEC 10646が追補(amendment)含めダウンロードできるので重宝しました。このサイトは拙著『 [改訂新版]プログラマのための文字コード技術入門 』(技術評論社刊)でも,規格票の入手方法の一環として紹介しました。 少し前に,このサイトからのダウンロードは終了し,ISOやIECの規格票の販売サイトに統合されました。ISO規格は ISOの販売サイト から入手できます。無料で入手できていた規格は,価格が0 CHF (スイスフラン)で販売という形をとっています。つまり,相変わらず無料で入手可能です。通貨がスイスフランなのは,ISOの本部がスイスにあるためでしょう。 以前と違うのは,ユーザー登録が必要で,価格がゼロとはいえ形式上は「販売」の体裁をとっていることです。英語のユーザーインタフェースからユーザー登録して「購入」する必要があります。もっとも,英語で書かれた国際規格をダウンロードして読もうという人なら問題ないでしょう。 ちなみに,日本のJISの規格票は JSA Group Webdesk から購入できます。以前と少し名前が変わっていますが,機能は同じです。

サイトウさんとワタナベさんのホントウのところ

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名字の「サイトウ」や「ワタナベ」には複数の異体字があります。何十種類もありますと面白おかしく書かれたものもありますが,本当のところを整理しておきたいと思います。 サイトウさん まず確認しておきたいのは,「斎」と「斉」は異体字ではなく別字ということです。 「斎」は,「斎場」(サイジョウ)「斎戒」(サイカイ)のように「ものいみ」の意味があります。一方「斉」は,「ととのう」「そろう」意味で,「斎」とは全く異なります。熟語としては「一斉」(イッセイ)「斉唱」(セイショウ)などがあります。読みも意味も異なるわけです。 では「斉藤」は「セイトウ」ではないのかという感じもしますが,漢字字典『 漢辞海 』によると,斉をサイと読むのは呉音,セイは漢音でどちらもこの字の音読みとしてあるのだそうです。歴史の教科書に出てくる斉明天皇も「サイメイ」ですね。また,同字典の「斉」の項目の後ろの方には「斎」に通じる字義も掲載されており,なかなかややこしい。 ともあれ,「斎・斉」は別字ということをまずおさえておきましょう。 「斎・斉」両字には今日一般的な常用漢字体のほかに,旧字体があります。旧字体とは,ざっくりいって明治〜戦前の活字体です。(明治以前はどうなのか?という点は,話がややこしくなり本題からそれるので,またいつか) 「斎」の旧字体は「齋」です。「斉」の旧字体は「齊」です。上半分が同じように複雑化して見えますね。表にまとめるとこうなります。 常用漢字体 旧字体 ものいみ 斎 齋 ととのう 斉 齊 意識する必要があるのは,この4つだけです。あと何十種類あるのは,旧字体の複雑な部分の書き方がちょっと違うだけの形を指しているにすぎず,数え上げればきりがないし,そうする意味もありません。中には,楷書でなく篆書 (『漢辞海』「斉」の項より) を持ち出して異体字に含めて紹介しているものまでありますが,それは書体の違いであり,草書や行書を持ち出して異体字と称してもお門違いなのと同じことです。 ワタナベさん ここでは「渡辺」とその異体字を問題にし,「渡部」のような別字は扱いません。 常用漢字「辺」の旧字体は「邊」です。「二等邊三角形」なんてテストの答案に書いていたら時間切れになりそうなので,新字体になって良かったです。 「邊」の異体字に「邉」があ...